マナカのプロフィール

【就職氷河期世代の奮闘記】新卒フリーターから大手企業に這い上がるまで③

私が派遣社員になったころ、派遣は「新しい働きかた」と言われていました。

  • 正社員をやめて、自由な派遣に切り替えた人。
  • 派遣として数年働いたあとは、大好きな海外に行って暮らす、というライフスタイルを送っている人。

いろんな理由で、派遣という働きかたを選んだ人が増えました。

そして仕事ができるレベルも人それぞれでした。

ドラマ『ハケンの品格』のように専門的なスキルを持っている人もいれば、スキルも経験もないけどとりあえず派遣に登録した、という人も。
(私は後者)

https://10000-18.com/office-worker/

フリーターから派遣になった私は、アルバイトやパートに比べて給料が高いことに驚きました。

私自身が何か変わったわけではないのに。

アルバイト・パートじゃなく、派遣という働きかたを選んだだけで、時給が上がる。

これなら正社員になれなくても生きていける、と思いました。

2015年の労働者派遣法の改正、3年ルールがなかった頃の話です。

派遣で事務職とオフィス勤務デビュー

私が初めてはじめて事務職として派遣された会社は、上場企業の小さな支店でした。

仕事内容は貿易事務。

一般的に貿易事務というと、こんなイメージを抱く人が多いようです。

  • キレイで洗練されたオフィス
  • ビシッとスーツを着こなしたビジネスマンが、英語で外国人と交渉している
  • 海外への出張がたくさんあって、世界をまたにかけて仕事をしている

実際、働きはじめる前に派遣会社の営業の人にも、

「貿易事務といっても、イメージしてる感じとは違うかもしれません。
どちらかというとドロくさい仕事ですよ」

と念を押されました。

それだけ憧れを持って応募してくる人が多いんでしょうね。

私が派遣された職場はというと、

  • 年季が入った建物
  • 部屋の中にパズルのようにギュウギュウに押し込まれたデスク
  • そのデスクの上の書類に埋もれるように座っている社員
  • そのデスクとデスクの間を申し訳なさそうにすり抜けて自分のデスクにたどり着く

見事に貿易事務に抱かれるキラキラしたイメージとはまったく無縁の世界でした(笑)
おかげで事務未経験でも、変な緊張感を感じることもなかった。
書類は英語だし、ときどき海外から英語の電話がかかってきてあたふたすることはありましたが、取次ぎするだけ。

英語が苦手な私でも、

「ホールドオンプリーズ(ちょっと待ってね)」

「ソーリー、ヒーイズアウトオブオフィス(ごめんね、彼は外出中なの)」

だけで乗りきれる程度です。

仕事内容は社員の方のアシスタント、の、さらにサポート。

しかも常に仕事が溢れているわけではなく、特定の時間だけ一気に仕事が押し寄せてくるパターン。

その時だけの応援要員みたいなものです。

書類待ちの時間が長かったこともあり、会社の仕組みとかをよく知らない私ですら、
「これで給料もらってていいのかな?」
と感じるほど、のんびりでアットホームな環境でした。

一生、派遣社員でも生きていける!

仕事に慣れていくと少しずつ業務内容は増えて、残業も増えました。
だけど仕事が増えるのも、残業も、ぜんぜん平気。

だって残業代が高いから。

派遣という働きかたは、パートやアルバイトに比べると時給が高いです。
もともと時給が高いうえに、残業代となるとさらに時給が上がります。

フリーター時代はほどんどなかった貯金が、毎月ドドンと増えていくのは快感でした。
(実家暮らしだったので、毎月大きな支出がなかった)

派遣でこれだけお金が増えていくなら、ぜんぜん生活に困らないじゃん。

一生、派遣社員でも生きていけるじゃん。

口座の数字がみるみる増えていくのを目にして、
「もっと口座の数字を増やしていきたい!」
と、貯金に目覚めていきました。

派遣が多い職場環境に安心した

もう1つ、一生派遣でもやっていけるのでは?と感じた理由がありました。

それは派遣先の環境。

その職場は、働いている人の半分くらいが派遣社員だったのです。

私のように派遣会社の派遣もいれば、
派遣会社の正社員が出向してきているパターンもあり、
雇用形態が多様でした。

そのせいか、正社員と派遣社員をはっきり区別するようなルールはなく、私がそこで働き始めたばかりの頃は、誰が正社員なのか、派遣なのか、区別できませんでした。

会話をしていても、社員と派遣の壁のようなものは一切なかったんですよね。

例えば、派遣がつらいと感じる時の1つは、「職場でボーナスの話があがったとき」
ですが、そういう話や空気がまったくありませんでした。
(もしかしたらボーナスなかったのかも?)

よく言えば、格差のない職場。

そんな中で、自分より年上の人たちが派遣で働いているのを見ていると、
「ずっと派遣社員でも大丈夫なんだ!」
という気持ちになることもありました。

派遣が多い職場は、派遣社員にとって居心地がいい職場なのかもしれない

そうは言っても、正社員への憧れがなくなったわけではありませんでした。

仕事に慣れてくると、1人で回す仕事も出てきます。
自分だからできている、という自負を感じるようにもなりました。

それだけ仕事をしているんだから、当然、社員になりたいという気持ちは芽生えてきたし、自分の仕事を認めてもらえるのでは、という期待もありました。

だけどその職場で、派遣から正社員になった人はいませんでした。

派遣としては居心地が良いのかもしれないけど、そこから正社員になる可能性はほぼゼロ。

次第に自分より先輩の人も少なくなっていき、
「このままここにいても、これ以上成長しない気がする」
と感じるようになりました。

夫と結婚したのはこの頃。

養っていく自信がないと煮え切らなかった夫に、
「私が働くし」
と男らしく宣言をし、別れるか、結婚するかの決断を迫りました。

自営業で働かない夫を働かせるには 夫を養う会社員のマナカです。 私は会社員です。 休日はカレンダー通り土日祝休み。 対して夫は自営業。 自宅で仕事をし...

もし、派遣でも生活できるという気持ちを持てなかったら、結婚してなかったと思います。

結婚して家庭を持つと、なおさら正社員への転職を考えるようになりました。

派遣は、数ヶ月単位での契約です。
派遣先が更新しないと言えば、それで仕事がなくなる。

もともと正社員として働きたかったところから始まった派遣のお仕事。
4年ほど貿易事務をして、それなりに知識と経験を身につけた、と自信を持った私は、これで正社員に転職することができる!と意気揚々と転職活動をすることにしたのです。

すぐに次の仕事が決まるとタカをくくっていた私は、次の職場を決めずに仕事を辞めました。

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